2017年11月21日

交差する時間 - 一週間

 死の三日前に星を眺め
 死の二日前に星を捕まえ
 死の前の日に星を食べ
 死のその日に星になり
 死の次の日に星になり
 死の二日後に星になり
 死の三日後に星になる
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2017年10月27日

交差する時間 - 黒い丸白い丸 そして花丸2

 東北のある小学校の理科の時間
 テストに出た問題
 
 雪や氷が融けると何になりますか?
 
 先生は採点をしながら
 ミ・ズ、ミ・ズ、ミ〜ズ
 みんな良く出来てる と呟く
 この子は平仮名かぁ
 そろそろ漢字で書いてもらいたいな などと
 やがて 
 ひとりの女子児童の答案を見て
 先生は椅子から跳びあがった
 へえ〜え〜え〜そうですか!!
 先日、水の三つの形態、液体、固体、気体について
 勉強したばかりだ
 
 雪や氷が融けると何になりますか?
 女子児童の答え
 
 春になります

 これだから教師はやめられない
 こんな子どもに出会えるなんて
 教師をしていて良かった

 先生は その子の答案用紙に
 大きな大きな花丸を描いた
 
※先日のおはなし会原稿の追加。前作と連詩のように読むことにした。
この話は、教育界では有名な話らしく、数年前に耳にして甚く感動したのを覚えている。
細部は記憶にないのだけれど、「花丸」をキーワードにひとつの作品にまとめた。
 
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2017年10月26日

寄す

 市立図書館に本を運んだ。寄贈を申し出たら快く請てくれることになったもの。
『荷風全集』岩波書店 全30巻
『堀田善衛全集』筑摩書房 全16巻
『西場栄光句集』私家版

 すべてを読み終えた訳ではないものの、これからも読めそうにないという諦めもあった。
 知り合いの古書店もないし、保存状態も悪くないので、いっそ図書館にと思い立って相談していたのだ。
 
 書棚にある時はずいぶんな場所を占めていたのに、図書館の小さな台車一台に、ちんまりと納まってしまった。
この体積に、どれだけ多くの、そして大きな「表現」が詰まっているかを思うと不思議な感覚に襲われた。
 「句集」は、当方の叔父の作品集で、私家版ながら立派な装丁でもあるし、一人でも多くの人に目を通してもらえたらとお願いすることにした。
 空いた書棚には忽ちあれやこれやの小物たちが押し寄せ、積ん読の本の整理をする気にもならない。
 なんだか拍子抜けしてしまった。
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2017年10月13日

交差する時間 - 黒い丸白い丸 そして花丸



ある小学校の 算数の時間
先生が黒板に 大きな丸を描いた
図形を考える時間
「これと同じに 皆さんの紙に丸を描いてください。
出来るだけ 真ん丸に描いてね」
やがて
「みんな描けましたか?」
「は〜ぃ!!」
みんなが手を挙げた 一人を除いて
先生は訝しんで その生徒の手元を見て驚いた
その子は 紙を真っ黒にしている
鉛筆で 一生懸命黒くしている
丸の線だけを 白く残して
だって
先生が丸を描いた黒板は 黒いし
白墨で書いた丸は 白いのだ
どうして
この子だけ違ったろう
他の子は当たり前のように白い紙に鉛筆で 丸を描いただけなのに
先生は立ちどまったまま
前に進めなくなった
この子のこれは これで完結してしまっている
余白がない
取り付く島がない
丸の中に四角を 描かせるはずだった
三角や星の形も 描くはずだった
余白があれば 計算式だって書ける
何より
先生のコメントが書けるはず
だった

しかし 先生は思った
この子の 他の子どもと違う
感性について考えた

この子は どんな闇を見たのだろうか
この子は 夕焼けを見て溜息をつくだろうか
この子は 虹を見て歓声を挙げるだろうか
この子は 人の愛に微笑むだろうか
この子の未来は まぶしく輝いているだろうか

黒く塗られた紙を裏返して
先生は 紙一杯に大きな大きな花丸を描いた

花丸を君にあげよう

※続いて、拙作「花まるを君にあげよう」を朗読する。

 これが、来年一月にある、友の会の定期朗読発表会「大人のためのおはなし会」の原稿です。
標記の詩の、エピソードは先日、NHKのラジオで聞くとはなしに耳に入ったお話しです。
細部は聞き逃してしまったのですが、心に残ったところを敷衍してつくりました。

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2017年10月09日

アケビの実

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 終わり初物とはよく言ったもので、今年のアケビの実は、この二つだけ。たくさんの花を付けたので期待していたのだけれど途中で落果してしまい、結局これだけが残った。
 ほんのり紫色に色づき始め、今朝、そのうちの一つが裂果してゼリー状の実が姿を現した。さっそく実を取り出して口に入れる。ほのかな甘味が口に広がる。
 プッ、プッ、プッ・・・、大きな黒い種の飛ばしっこをする。
「あたしの方が飛んだ!ほら、あそこまで・・・」
「負けるものか、フ〜〜ッ、プッ・・・、あれ!?足元に落ちちゃった・・・」
 飛んで落ちたところで、来年、新しい芽が出るだろうか。
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2017年10月03日

今年もサンザシ

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 今年は、サンザシの実の色付きが早い。どうしたことか、実の数は去年の半分にも満たない。去年、色付くまで定点観測した枝にも実は付かなかった。少ない分、紅玉の宝石のような希少価値があると言えば聞こえはいいのだけれど。
 実が落ちて冬木になったら、何か適当な寒肥を施したほうがいいのだろうか。買い求めた花木センターの姐さん店員さんに教えてもらわねば・・・。
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2017年09月29日

ヤマブドウの果実酒

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 摘み取ったヤマブドウの一部を、ホワイトリカーに漬けて一日。ヤマブドウのエキスで鮮やかな赤紫色になった。一週間ほど寝かせてから味見をしてみようと思っている。
 
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2017年09月28日

ヤマブドウ収穫

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 鉢植えのヤマブドウは、毎朝コーヒーを飲みながら数粒ずつ摘んでいるうちに食べつくしてしまった。ほとんど手付かずだった菜園のヤマブドウは、熟れすぎて落果するものが出始めたので慌てて収穫し手籠一杯に採れた。
 さて、これをどうしたものか、苗を求めた花木センターの姉御肌の店員さんに教えてもらった果実酒漬けを一壜仕込んでみた。「おいしいよ〜〜」と言われたのだけれど、さて・・・
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2017年09月26日

今年も寄せ植え

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 当方の秋の寄せ植えには欠かせない「パープルファウンテングラス(イネ科)」。ススキの葉に似ているけれど花穂はネコジャラシを大きくしたようなもの。
 足許に、今年は「サンブリテニア(ゴマノハグサ科)」を添えた。ポットから鉢に移植してまもなく花が落ちてしまいがっかりしていたのだけれど、最近になってまた花が咲き始めた。
 寄せ植えの楽しみは、当初、ぎこちない寄り合い所帯だったものが定着後、茎や葉が伸びて、姿形が鉢に馴染んでくることだ。こちらが予想した通りにはなかなかいかないけれど、それがかえって思わぬ相乗効果となって目を楽しませてくれるのがうれしい。
 辞書を繰っていたら、思わぬ文言に出会った。

 窓前草不除:そうぜんのくさをのぞかず:窓前に生じたる草は、これ天地生々の気を受けたるものにて、人の意志ともと同一なり、故に之を除かずして天地の自然に従ふなり。程氏遺書に見ゆ。(『大字典』)

「物ぐさの言い訳ね」と窓の下で家人が苦々しく言う。
「その、紫苑は抜かないで残してよ、これから良い花が咲くんだから」

 
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2017年09月24日

今年もイワシャジン

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 〈 いづこの牕(まど)かしらねども 〉
  薄青色の岩沙参
  
  俯く様の清らげに
  咲き競ふにはあらねども
  
  匂ふが如き調べ打つ
  鐘の音にぞ時を知る

 ※ 〈 〉内、ステファンヌ・マラルメ「薄紗の帳」(上田敏訳)より引用
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2017年09月23日

彼岸花

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 曼殊沙華とは、梵語で「赤い花」という意とか。
「死人花」、「捨子花」、「幽霊花」、「狐花」などおどろおどろしい別名で呼ばれることもあるけれど、秋を彩る花であることに変わりはない。
 夕明りにはまだ早い時間、傾き始めた西日を花越しに透かし見るのも一興。
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2017年09月18日

「動詞が消える」

 先日の朝日川柳(朝日新聞朝刊)に、
 だんだんと動詞が消える日記帳(東京都 鈴木了一氏)
とあった。
 吾日記帳を顧みるに、思い当たる節があって膝を打った。
 動詞の向こうには行動があり行為があり、輾転と開けて行く筋道が見えるけれど、動詞の少ない日記帳には、おのずから身辺雑記への感傷が増える。それも体言止めの記述となり、われながら味も素っ気もないと嘆息が洩れる。
 出不精とは何とも禍々しい物言いで逼塞を自己正当化するようで気が引けるからあまり言わないでいる。
 井坂洋子さんの『詩はあなたの隣にいる』(筑摩書房)を読んでいて面白い記述を見つけたので、孫引きになるけれど引用させていただく。

---先日読んだばかりの『こども論の遠近法』(影書房)という鼎談の本で、芹沢俊介が話していたことが思いだされた。
「人間はどのように日常を過ごしているのか、人間関係のなかでどのようにふるまうのかといった人間の日常性をシンプルに見ていくと、“何かしている自分”と何もしないで“ただそこにいることで成り立っている自分”があるという単純な事実が見えてきます。これを“する自分”と“ある自分”と表していますが、これはウィニコットという小児科医で児童精神科医の考え方から得ています。」
 芹沢は、社会は「ある(being)」より、「する・できる(doing)」を優先させるけれど、「ある」という存在感覚の養いこそが最優先で、「する」は「ある」がしっかり作られれば、おのずから個性に応じたdoingを展開できる、というウィニコットの考えを、共感をこめて語っていた。---

『子ども論〜』に当っていないので確かなことは言えないのだけれど、成長期の子供に対する考察(だと想像される)が、「する・できる(doing)」がめっきり少なくなった、川柳氏の言を借りれば「動詞が消える」日記帳を記す日々にも及んでくるようで、慌てて「終日読書する」と、動詞を書き加えたことでした。

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2017年09月13日

ランタナ

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 小さな一輪挿しに、ランタナの黄色が鮮やか。斑入りの緑の葉が優しく色を添える。
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2017年09月10日

今日の一行の七十一

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 秋あつき日を追うて咲く木槿かな  几董
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2017年09月09日

青いランプシェード

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 北大路魯山人の旧居を、北鎌倉から笠間市へ移築したという「春風 萬里荘」(笠間日動画廊附属)。
入母屋の屋根を持つ堂々とした風格のある茅葺屋根の建物。
 馬を飼っていたところを改装して造られた洋間に下がっている照明器具。明り取り用には別にシャンデリアがあるから、こちらはオーナメントとしてアクセントにつけられたものか。
 青いランプシェードが美しい。

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2017年08月11日

一輪挿し

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 愛用していた球形の一輪挿しが半分に割れてしまった。白釉を刷いただけの何の変哲もないものだけれど、庭の草花を一輪、季節ごとに挿して楽しんでいた。
 捨てるにしのびず、半欠けに水を入れて紫の花(残念ながら花の名前を失念してしまった)をそっと置いてみた。庭のテーブルでコーヒーを飲みながら、球形のときよりいいみたい・・・。
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2017年08月04日

ゆりかご

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 散歩の途中で微笑ましいものを見つけた。
「気づいた時には、もう格子から戻せないくらい大きくなっていたの」
 庭先に作った菜園でスイカを栽培したところ、フェンスの格子の間から蔓が伸びだして、みるみる大きくなったという。庭のものより大きくなって、とその家の奥さんが苦笑い。
 やむなく、ネットで「ゆりかご」を作り、大事に見守っているの、と。
「下宿人が一人できたみたいよ。」
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2017年08月02日

今年もヤマブドウ

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 鉢植えとは別に、先年、菜園の隅に植えたヤマブドウがぐんぐん蔓を伸ばし、間に合わせに作ったぶどう棚一杯に広がってたくさんの房を付けている。広さにしてわずかに畳2枚程度、つまり一坪ほどのもの。房の数6,70房はあろうか。
 今年は、近所のブドウ栽培農家さんに教えてもらった通り、房の長さを1/3ほど詰めて短くし、随時、小さな粒を摘果して粒をそろえた。お蔭で一粒ひとつぶの大きさが去年の鉢植えのものに較べると1,5倍、ものによっては2倍の大きさになっている。ただし、ブドウにはブドウ虫はじめ数種類の害虫が付くから大変だよ、とも言われていた通り、一本の枝にはブドウ虫が入って膨れ上がり、カメムシに似た虫がやたらめったら実をかじったりと、無農薬を実践するのはまことに気がもめることだ。
 でもいいもん、虫がつくのは美味しい証拠だから、などと負け惜しみを言いながら色づく秋を待っている。
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2017年07月30日

交差する時間 - 空の微睡むところ

 今日も空を仰ぎ
 空の微睡むところ
 空の機嫌の好いとき
 雲間から射す
 微光に乗り 
 心遊ばす

 かくれんぼの声がする
「もう いいかい?」
「まぁだだよぉ」

〈 見つけられたくないけれど
  見つけられたい 〉

 空の微睡むところ
 空の機嫌の好いとき

 ひとりぼっちの鬼が
 べそをかいている

 ※〈 〉:『異国の客』池澤夏樹より引用。

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2017年07月08日

トマト

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 朝採りのミニトマト。赤や黄や陽に輝いておいしそう。ミニトマトは、ブドウのように一房にかたまって実がなるので、熟すのもいっしょ。一気に採りごろになる。
 収穫しながら一個口に入れる。畑の贈り物に感謝しつつ味わう。うま〜〜〜〜い!!
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