2007年02月23日

交差する時間 - 道

     悲しい時は
   道端の小石を蹴ります
     石が笑えば
    ひとり 泣きます

     悲しい時は
   道端の電柱に拠ります
     電線が呻れば
    ひとり 泣きます

     悲しい時は
     悲しい時は
   道端に沿って歩きます
  続く道を 何処へともなく
    ひとり 歩きます

      

      続く道は
   落し物でいっぱいです
   誰も気付かないのが
      不思議です
  ひとりで気付いているのが
      不思議です

       そして
  ポケットの中は空っぽです

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2007年02月20日

菜飯の塩加減

 とりどりの菜飯を散らし母老いぬ  石 寒太

 家人がつくってくれた菜飯を食べながら、ふと思い出したことがある。
 直木賞作家、出久根達郎氏の『いつのまにやら本の虫』(講談社文庫)にある「残りのひと口」という一節。
 戦後の食糧難時代に、どこの母親もそうだったように、自分の食を細めても子供たちに食べ物を工面した、A さんという知人の母親と弁当にまつわる話なのだけれど、何度読んでも、涙が止まらなくなってしまう。
 健康食ブームとやらで、食に関する話題も豊富だし、菜飯や混ぜご飯なども色々紹介されるけれど、同じ食糧難時代に切ないほどの空腹を味わった身には、米よりも多く、麦やサツマイモの混じったご飯が思い出されて、とても他人事とは読み過ごすことが出来ない。
 
 市立図書館主催で朗読講座が開かれて2年目の今年、講座の修了生でつくる図書館友の会の朗読発表会が、図書館付属の集会室で、先日行われた。
 関係者も含めると90名超。用意した椅子が足りずに、立ち見まで出る盛況だった。
 今回は一期生のみの発表会だったが、順調に行けば、来年は当方もメンバーとなっている二期生が主体の発表会になる。
 そこで何を読むか。一年先のことを思いあぐねても始まらないけれど、聞く人に感動を与えられる作品を、と思っていた矢先に頭に浮かんだのが、この「残りのひと口」。
 涙なみだのくだりを、恐縮ですが引用させていただきます。

 子どものころ、A さんの家は貧しかった。父親が戦死し、戦後の食糧難時代を、母親が必死に働いて育ててくれた。
 当時の小学校には給食などという、気のきいたものはない。弁当を持って登校した。 
 弁当のない者も、いた。貧しくて弁当どころではない家の子たちだった。A さんはそういう家庭の一人だが、母上が弁当だけは持たせてくれたという。
 しかし、おかずは毎日シソの実の塩漬け。これが麦飯の上にふりかけてあるだけ。
 さすがに、いやになり、ある日、母に苦情を言うつもりで学校から帰ってきた。その日は雨で、働きに出ているはずの母が珍しく家にいた。何かを食べていたが、A さんを見るとあわてて隠した。A さんは母をなじった。自分に内緒で、おいしいものを食べていると思ったのである。
「遅い昼をとっていたのよ」そう弁解する母が見せた物は、サツマイモのつるであった。つるをゆでて、塩をふりかけたものである。昼食がわりに、母はそれを食べていたのだった。わが子には麦飯を食べさせながら、自分は牛の飼料にも劣るものを、ごはんがわりにしていたのである。
 以来、A さんは母のために、弁当を半分残して帰宅するようになった。ところが母はそんな A さんをいさめた。しかし A さんは、どうしても自分一人で平らげることができない。母に怒られながらも、毎日、ひと口ほどの量を残して持って帰った。A さんの、せめてもの母への感謝であり、思いやりなのであった。(以下略)

 もとより、練りに練られた出久根氏の作品を、このように、ほんの一部、摘み食いするように引用するのは、せっかくの文章の味わいをこわしてしまうことになり、申し訳ない思いがしますが、皆さんにも是非ご一読願いたい作品と思い、敢えて引用させていただきました。
 さて、涙を流さずにこの作品をどう読むか。朗読術の拙さを棚に上げて、菜飯を食べながら考え込んでしまった。
 こころなし、今日の菜飯の味加減、いつもより塩味が強いように思えた。
posted by vino at 21:26| Comment(2) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月15日

心機一転

 修繕工事の引渡し検査が、昨日、無事に終わった。肩の荷が下りたとはこのことか、久し振りの現場常駐で疲れたが、設計監理を担当された設計事務所の助言、指導を得て大役を果たせたと思う。細目、不満の残るところもあるけれど、一区切りとしたい。
 大上段に振りかぶった修繕工事日記の投稿も、せっかくの機会だから施工中の工事写真を色々ご紹介しようと思ったけれど、700枚近い写真を毎日整理、編集していると、うんざりしてしまい、もう見るのも嫌になってしまった。
 追々、思い出しながらアップしますのでご容赦下さい。
 
 6ヶ月振りに、ギター教室に顔を出した。
 まだ、左肩痛は本復とは行かないけれど、ここで辞めてしまっては元の木阿弥。二度とギターを手にすることもなくなってしまっては、と思い直して、復帰は3月からにしてもらうこととして、取敢えず、月謝を前納することにした。
「早く直して、戻っておいでよ」
年嵩のSさんが、コードを爪弾きながら声を掛けてくれた。
 そうだよ、引き篭もってなんかいられないぞ。
 自宅に戻って手にしたギターが、やけに重く感じられた。アレ!?チューニングってどうやるんだっけ!!
posted by vino at 21:05| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月12日

手前味噌

 このタイトル、「寒仕込み味噌」と気取る心算が、節分が過ぎて「寒・・・」もなかろうから「寒中・・・」としようと、念のため辞書を引いたら、 
寒中:小寒の初めから大寒の終りまでの間。(広辞苑)とある。
「寒」も「寒中」も単に寒い季節の間というのではないらしい。
 そういえば、素敵なブログで何時も仄々とした気分にさせて頂く、mojizurisouさんの「あしあと」のコメントに、☆土筆も出始めました☆とある。当方もつい2,3日前に、蕗味噌を味わって、春を感じたばかり。
 さて、味噌のこと。
 先日、家人の仕事仲間のOさんから、自家製の味噌とそのレシピが届いた。
 Oさんは自家製ものの名人で、季節に頂く糠漬けは絶品。今までにも何回か頂いて、美味しさのあまりおねだりまでしてしまうことも。野菜は、自家菜園無農薬有機栽培、と徹底している。茄子や胡瓜、トマトなど季節の野菜の出来映えはその姿かたち、色艶を見ただけで、スーパーの店頭に並ぶものとは、ものが違うと分かるほど。
 そのOさんに触発されて、家人が、味噌を作るから手伝え、とのご託宣。さてさて、味噌作りの顛末記は後日のこととして、今は暫し、Oさんから頂戴した野沢菜漬で、お茶を一服。
 これがまた、旨いのなんのって・・・。
posted by vino at 17:38| Comment(4) | 独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする