2007年08月26日

作曲家気取り

Finale NotePad2003a.b1 - [狼森(おいのもり)のうた.pdf 朗読と語りの会で、新しい演目を勉強することになった。
 宮沢賢治作「狼森(オイノモリ)と笊森、盗人森」
 
 新天地を求めて、深い森に囲まれた平地に入植した百姓の家族と、森、狼、山男そして盟主岩手山との交流を描く心温まるお話。
 中に、狼たちが焚き火を囲んで歌う歌が出て来る。
 賢治の音楽好きは知られたところで、「星めぐりのうた」他、数々の名曲があるけれど、残念ながら、この歌詞には曲が付けられていない。
 で、作曲?を始めた。使用したのは
「楽譜が作れるソフトと本・Finale Note and 2003」藤江まなみ・池田茂樹共著、音楽の友社

 ♪狼森(オイノモリ)のまんなかで、
     火はどろどろぱちぱち、
     火はどろどろぱちぱち、
     栗はころころぱちぱち、
     栗はころころぱちぱち。

 当方、鍵盤楽器、音楽の基本知識も無いまま始めたことなので、心得のある方には噴飯ものに、とわが身を省みずにお披露目させていただきます。
 伴奏部分など、ご教示いただければ幸いです。
 では・・・。
追記:リンクされている箇所を、右クリックして、「対象をファイルに保存」を選択願います。
posted by vino at 16:09| Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月20日

あゝ いとしくおもふものが

 例によって、乱読・併読、加えて今回は味読のこと。
『新編 宮沢賢治詩集』天沢退二郎編・新潮文庫

 市立図書館朗読講座のO.B.でつくる友の会の発表会が、来年1月、二期生を中心に予定されている。
 講師のN先生が、三期目の講座をスタートされたので、それと併行して、9月から、発表演目の指導をいただくことになった。 
 当方は、宮沢賢治作「サガレンと八月」を演る予定にして、いまそのテキストを作っている。
「」書きの会話体のところ(賢治は詩文でも好んで会話体、独白体を挿入している。もっとも賢治は自分の詩文を心象スケッチと呼んでいたそうだが)は、同期の4人の女性に、コロスとして友情出演してもらえることになった。
 風と波の揺れる言葉を、女声の強弱、緩急、繰り返しで表現する。加えて、イントロとB.G.M.の曲選び、S.E.の波の音・風の音、と忙しい。
 図書館には、ミキサーやイコライザーなどと言った音響機材設備がないので、編集に四苦八苦。
 CDは手持ちのプレーヤーで、テープは誰かさんのプレーヤーを借りてなどと頭が痛い。
 昔あったオープンリール式の録音機が2台とミキサーがあれば、一本のマザーテープにすっきり編集できるのだけれど、無い袖は振れない。かと言って、PCでの音の編集!?習得する前に発表会が来てしまう。
 で、冒頭の詩集。息抜きに頁を繰っていて、珠玉の詩連が目に付いた。
「春と修羅 第二集」より「薤露青(かいろあお)」
 
 あゝ いとしくおもふものが
 そのまゝどこへ行ってしまったかわからないことが
 なんといふいゝことだらう・・・・・・
 
 これを、慟哭、絶唱と言わずして何と言うのだろうか。

 かなしさは空明から降り
 黒い鳥の鋭く過(よ)ぎるころ(以下略)

 この、「空明」の読み方の判断がつかずに悶々としたが、「そらあけ」と思いついて、心が晴れた。
 この頃、賢治の作品を読み進むうちに、独特の言い回し、リズムに少しずつ慣れてきたように思う。
 そういえば、「サガレンと八月」は、読点の無い長文が次々と続くので、活舌に加えて、腹式呼吸も反復練習しなければならない。
 いやそれにしても、暑いこと。

追記:広辞苑によると「薤(らっきょう)の葉の露が乾きやすく、落ちやすい意。」とある。「昔、中国で葬送の時に歌った歌。」とも。ご確認の程を。
 なお、編者の天沢氏の注解によると、この詩「薤露青」は、鉛筆書きの草稿全体が消しゴムで抹消されていたものを、校本全集編纂時に消し跡を判読して再現したもの、とある。編纂者の熱意に敬意と感謝を申し上げたいが同時に、羨望も憶える。消し跡の一字一句を辿り判読してゆく内にキラキラと浮かび上がってくる詩句に、さぞ胸をときめかしたであろう、と。
 かくして、この一連の絶唱が甦ったのである。
 しかし、謎は残る。
 何故、賢治はこの詩全編を消しゴムで消してしまったのだろうか?
 短い生涯の、晩年、5年間の出来事らしい。南無。
posted by vino at 15:30| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月18日

「の」の字

 さる公衆施設の個室内で見た落書きのこと。
 正面に、「左を見ろ」と矢印。左を見ると、「右を見ろ」とやはり矢印。で、右を見ると、「キョロキョロするな」とある。
 ここまでくると、「落書き」ではなく「落書(らくしょ)」に昇格させてもよい出来で恐れ入ったが、これには続きがあって、更に「自分のをよく見ろ」とある。
 ここで、「自分のを・・・」というところがミソで、「の」の字が無ければ、キョロキョロとせずに「自分を」よく見詰め、己の来し方行く末を反省し熟慮しろという諭と取れる。
 ところが、「の」の字があるために、しょんぼりと頭を垂れている「自分のを」見るハメになり、人間性もさることながら即物的な矮小性を併せて指摘されたようで、がっかりしてしまった。
 格助詞、「の」の力を思い知らされた。

 思うに、「白い恋人」事件は、この伝で行けば、「自分を」見ないばかりか「自分のを」も省みなかった誠に愚かな出来事で、経営者の言う「増長、傲慢」を通り越して、「おバカさん」と言う外はない。

 このところの猛暑の中で清涼感を味わったアイスクリームの話。
 孫軍団と一緒に食べた、グリコアイス「牧場しぼり」のシールフタに書かれている「ひとこと」の幾つかをご紹介したい。
 
○アイスにはアイが入っている。
 ・・・企業経営も、消費者に対する愛が一番という自戒だろうか。
○名案は案外ぼーっとしているときに浮かぶ。
 ・・・この商品の開発者は、仕事中ぼーっとしていて思いついたに違いない。
○のんびりと退屈は違います。
 ・・・ごもっともで、退屈時には欠伸がでるけれど、のんびり時は気持ちも身体も伸びをする。
○ため息つくより、深呼吸しよう。
 ・・・さもあろうと、これを見て思いっきり深呼吸したら、熱気を吸い込んで危うく熱中症になりそうになった。箴言も時によりけりで、命に関わることもあるから注意を要する。
○おいしいものに囲まれていると、みんな優しい。
 ・・・暑さに負けて、うんざりイライラしていたけれど、このアイスクリーム食べている時の孫軍団は、みんな良い顔をしていた。
○6畳で牧場を味わう。
 ・・・こういう冗句、畳句は当方の愛するところで、「6」と「牧」、「畳」と「場」の韻が脳天に響いて、また「ひとこと牧場」に行きたくなる。
 
 聞くところによると、48種類の「ひとこと」があるそうだから、楽しみながら残暑を乗り切ることにしようと思っている。
<秀逸>
○ひとりになるのはイヤ。ひとりになれないのもイヤ。
posted by vino at 09:27| Comment(2) | 独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月14日

我輩は蚊である

 夏の夜の艶話。
 怪しく思われる方は、此処で立ち止まってください。
 
 跨っている男の、毛むくじゃらを掻き分けて、その尻に喰い付いた。ツーッと、煮えたぎった血を吸い上げていると、下で喘ぐ女の乳を揉んでいた男の手が、オッと、飛んできて、ピシャリッと尻を打つ。この忙しいのにご苦労なこった。自分の尻を空手で打って、男の手は、また女に戻った。 
 男の血に飽いて、今度は女の太腿に移る。象牙色の肌に、静脈を浮かして、男の脇腹を締め付けている。
 そんなドサクサに、挟まれては為らぬと、汗の滴る尻の近く、ぽつんと可愛い黒子のある辺りに喰い付いた。良い香味を含んだ熱い血が、こちらの吸い口に飛び込んでくる。
「痒いっ!」と女が叫んだ。男は喜んで、「ヨシッ、ヨシッ」と自らを励ますように動きを早めた。
「痒いわっ!」と女が呻いた。男は更に喜んで、もっと動いた。
「痒いか、痒いか、此処か、何処だ!」
 男の背に爪を立てていた女の手が飛んできて、ピチャッと腿を叩いた。すばやく逃げ飛んで、冷やかしに、口を吸い合っている男と女の耳元を何度となく旋回してやった。
「蚊がいる」と女が、絶え絶えの息で言った。
「かまうな、かまうな」と男の口が女の口を塞いだ。
 
 鱈腹になって、少々眠くなってきたので、男の頭のてっぺんの白髪に止まって休むことにした。
 すると、男も女も声も立てず動きも止めて、息を収めている。
 程なく、男が手を伸ばして、枕もとのタバコの箱を手繰り寄せ、自分と女の口に一本ずつ、タバコを咥え咥えさせ、ライターで火を付けた。
 この煙は堪らない。巻かれたら、生命に関わる。
「ご馳走さん、ご苦労さん」とお二人に別れを告げて、戸の隙間から表へと退散した。
「この一服の味は格別だ」と言い合う二人の声が、後ろで聞えた。
「あの時の、蚊、何処行ったかしら。いやな奴」とも。
posted by vino at 20:18| Comment(2) | 掌編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月10日

交差する時間 - 母

母さん ごめんなさい
R十歳を超えて
やっと甘え方を知りました
幼い頃
わたしは甘え方を知りませんでした
唯 無闇に泣いてばかりでした
母さんの優しさに
唯 恐れ戦いてばかりでした
自分が恐かったのです
信じ方も知らないまま
信じられずにいました

母さん ごめんなさい
今なら 随分甘えられます
もう こんな年ですもの
少しは 自分というものが
分かってきましたから・・・
母さんには いつも
褒められてばかりいました
訳も分からず
唯 得意なだけのおバカさんでした

母さん ごめんなさい
イヤに静かですね
笑って下さい 大きな声で
歌って下さい母さんの得意な
「ゆうやけこやけ」

母さん ごめんなさい
やっと 甘え方を知りました
少しは 自分の行く末も
見えてきましたから・・・
母さん ごめんなさい
甘え方を知って
こんなに晴れ晴れとした気分は
久し振りです

母さん
明日も晴れると良いですね
posted by vino at 13:36| Comment(2) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月09日

交差する時間 - 砂

向うへ行きたいものだと
砂山を越えようとしたが
砂は足を弄び
一足二足と歩を運んでも
宙を舞うばかり

向うが呼んでいるものだと
聞き耳を立ててはみたが
砂は風を欺き
一声二声と誘われても
宙に木魂するばかり

砂と遊びたいものだと
掌に掬ってはみたが
砂は嬌声を装い
一粒二粒と感応しても
宙に戦くばかり
posted by vino at 19:54| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする