2009年03月31日

「さくら」咲く

 今はどういう文言なのだろうか、一昔前までは、大学合格の通知電報は、「さくら・・・」に決まっていたはずだけれど、このような場合に、今でも、電報など使うのかどうかも覚束ない。
 今回の「さくら」は、電報とも合格通知とも関係のないお話。
 
 若いときにギックリ腰をやって以来腰痛持ちとなってしまい、整形外科はもちろん、あちらの整体院、こちらの鍼灸院と随分通って、辿り着いたのが水戸市河和田町にある「さくら鍼灸院」。今から10年近く前になる。
 ひどいときには、寝るも起きるもママならず、寝返りも打てずに、歩く時には90度近く腰を曲げなければ歩けないほど。
 で、小一時間ほど、治療をしていただいて、帰りには背筋を伸ばして、悠々、自分で運転して帰って来る。信じられない回復振りに驚いて以来、鍼治療は、「さくら鍼灸院」さんで、と決めている。が、お陰様で、このところ腰痛もなく過ごしていて、すっかりご無沙汰してしまっていた。
 数日前に、娘が孫軍団を連れて車で里帰り、疲れもあってか腰痛と背中の張りがひどいので、先日、一緒に治療を受けてきた。
「信じられない。身体が軽くなって、エネルギーが満ちてきた感じ。あっ、痛くない」。治療が終って、そのままベッドで休んでいた娘が、起き上がって欠伸をひとつ。実は、左顎関節炎で、欠伸が出来なかったのに、すっかり元通り。
「人間の身体って、不思議ね」
「人間本来の持っている、治癒力を呼び覚まし高めるのが鍼治療のもっとも得意とするところ」と院長さん。
 当方も、治療の途中で、ガクーンと一段階ギアチェンジをしたような快癒感を覚えて、身も心もリフレッシュ。まさに、「さくら咲く」気分で帰ってきた。
「隠れストレスや隠れ凝りも直します」と院長さんがニッコリ。
 併設された、奥さん担当のエステティックも女性に人気で、何より、不妊治療に実績もあるそうですので、色々お悩みの方は、是非一度お訪ね下さい。


posted by vino at 13:58| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月28日

交差する時間 - 生まれ出づるもの(とうもろこし人形「木村拓子展」に寄せて)


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- まるで骸骨みたい、フフフ
- うーん、どうしようかな
- 貴方が悩むの、悩むのはあのひとでしょう?
- でも、どうしても一言、言っておきたいんだ
- へえ、注文をつけるんだ
- いや、注文じゃない。唯、その前にさ、一言
- その前?
- そう、僕が生まれる前に、あのひとに、僕が生まれる理由(わけ)を訊いておきたい
- 何に限らず、生まれることに理由なんてあるのかしら?
- えっ!?
- 生まれるって、自然の成り行きでしょう。ただ何となくじゃないかしら、フワーッとね
- 君もそうだったの?
- もちろん、わたしニンフですもの。ニンフはね、この世のあらゆる物事を統べる摂理に従って、誰かが振り向いた時には、もう生まれているものなの、フワーッ、とね
- あのひとの愛はどうなるのさ、置いてきぼりってわけ?
- 愛、愛、いい言葉ね。そんなことないわ、愛ってわたしよ、わたしそのものが愛なの。あのひとがそう言ったわ。「わたしの愛を込めて、こうやって・・・」。あのひとね、<生む>時は、ブツブツ呟いているわ、自分に言い聞かせているのか、わたしたちに語りかけているのか
- 生まれる前から聞こえるんだ、あのひとの独り言
- おぼろげにね、どこか遠くからボンヤリと聞こえていて、それが段々ハッキリ聞こえるようになると、身体がとても温かくなるの
- 君の体内に温かいものが流れ始まる、と?
- いいえ、あのひとの両の掌に包まれているからよ。そして、あのひとがフッと息を吹きかけると・・・。それにしても、貴方、何時までそんな恰好でいるつもり?
- あのひと次第さ。アッ、それで思いついた
- 何を?
- 僕があのひとに訊ねたいこと。それは<生まれる理由>じゃなくなった
- それは何?
- それは想いだよ、あのひとの熱い想い。どうしてそれが形になるのかってこと
- それって、生まれる前から、あのひとの中にあるってことね
- そうさ、あのひとの心の中に生まれる、それがどうして形になるのかってこと
- シーッ、あのひと、起きてくるみたいよ

※「とうもろこし人形 木村拓子展」会場で撮影させていただきました。
スケルトン状のものは、人形に変身する前の、そう、生まれ出づる前の姿だそうです。

posted by vino at 16:19| Comment(4) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月26日

交差する時間 - バーにて


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ジャズが流れている
バーテンダーの氷を掻く音がする
手に持つグラスでウィスキーと戯れる氷の音がする

笑い声が弾けて又沈む
話し声が浮かんで又消える
コードペンダントの緑色の傘がかすかに揺れている

ウッドベースが張り切っている
ピアノが宥める
ドラムスが絡んでゆく

トンッ、とショットグラスを置く音がする
「マスター」と空になったグラスをかかげる
スコッチのボトルから黄金の液体が喉を鳴らして注がれる
つまみは無し
思い出話、世間話、噂話、と少しの自慢話

「これ、飲んでみて」
「え!?マッカランの・・・年もの・・・うへぇっ、美味い!」
「じゃあ、これ」
「いい香りだねえ」
「最初のやつの、数等上のやつ」
「これ、飲まないで取っておく。香りだけでいいや」
「どうしたの、飲んでよ、残したら俺飲んじゃうよ」
「マスターに預けるわ」
「来月、スコッチの買い付けに行く」

白いひげのマスターが笑っている
「マッカランを飲んで死んだのは誰だっけ?」
「カイコウタケシ」
「ボトル一本で車一台?そんなあ・・・」

ビル・エヴァンス・トリオが退場して
トランペットが唄い出す

「七年もの、もう一杯」

夜が更けてネオンが寂しそう

( 本当は、道の向こう側から暗闇に浮かぶこの店を眺めながら飲んでいたいんだけど )
「それこそ酔狂とぃぅ・・・」

夜が更けてゆく


※写真は、知り合いのNさんが撮影したものを拝借しました。Nさん、酔っていたはずなのに、ぶれていませんね。
 11月9日、補遺。
posted by vino at 16:27| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月24日

可惜、蕾を


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 このところ、花守気分でいる。何とも落ち着かないでいる。
 小庭の真中にある辛夷の蕾が、一週間ほど前からほころび始めて、今、三分咲きほど。
 例年、咲き始めてから「花冷え」の日があって、年によっては晩霜でやられてしまうこともある。
 加えて、ヒヨドリの一家がこの辛夷の花に目をつけて、朝となく昼となく、ひっきりなしにやってくる。見ていると、大きく膨らんだ蕾ばかりを狙って啄ばんでいる。開ききったものは、蜜も香りも飛んでしまい、賞味期限が過ぎましたよ、と言わんばかりなのだ。
 彼らの、日頃の主食が何なのかは知らないけれど、デザート感覚で喰い散らかされ、庭に落とされた花弁や蕾を見ると、彼らの貪欲な食欲に気圧されてしまう。
 枝先に止まる鳥たちに、こちらの気分を見透かされそうで、妙に落ち着かない。

 一片の疵つき開く辛夷かな 高野素十

  
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2009年03月13日

「とうもろこし人形 木村拓子展」- 観る・見られるの感


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 その面立ちは、「自在」にある。形を超えて形容し、動き、饒舌でもある。また、照明による陰影は、それらの所作や心持を表し、時に静かな語らいを、時に闊達なバック・グラウンド・ミュージックを奏でる。鎮まっていながら、それらは実に多くの物語を紡ぎ出し、観るものに迫ってくる。観ているのに見られ、巧まずして、こちらとあちらに対話が生まれる。作者の言う「つ・な・が・り」が現成する所以である。
 
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 会場に置かれたノートには、沢山の想いが書き込まれている。書かずには措かない気が生じ、筆が走る。
 ひとは、不図気付く。想いを綴っただけでは足りないのではないか、「わたしは、この人形たちと、このような会話をしました」と記さなければ、つ・な・が・らないのではないか、と。
 この疲労感は何だろうか。おそらく、320体に及ぶ人形たちの命の在り様を、己に証言する戸惑いから来るのかもしれない。
 人形たちの命の形を示すのみで、作者は「顔」を描かない。
 小さな面(おもて)に、大きな「余白」と「余情」が漂う。

※ 会場:常陽史料館アートスポット
  会期:3月22日まで
  水戸市備前町6−71
  tel 029−228−1781
※ 言い訳:一枚目の写真は手振れではありません。「そのとき」、彼女が動いたのです。(蒙御免)
posted by vino at 11:56| Comment(6) | 独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月09日

偕楽園公園修繕工事H20 - その6


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 いよいよ漆塗の工程に入りました。
 雨戸は締め切り、部外者(我々工事関係者も含めて)は立入り禁止です。従って、残念ながら詳細は不明ですが、漆工の職人さんから聞き取りした範囲でお伝えしましょう。
 今回は、生漆の早口と遅口を適宜使用しました。硬化の早いものと普通のものを言うそうです。漆は、採取地や季節によって夫々性質が異なり、まさに、いきもの、施工時の気象状況にも大きく左右されます。

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 丁寧に刷毛塗したものを、床板に馴染ませながらひたすら拭き取ります。拭き取りには、晒しの布を使いました。刷毛の抜け毛や、布の糸屑はご法度ですから、いずれの工程も神経を使います。
 それにしても、職人さんたちは、締め切った中で黙々と作業を進めています。
 漆は、乾燥するのではなく、空気中の湿気と反応して硬化するのだそうで、従って温度と湿度の管理が大切になります。
 風を通すと、表面に硬化膜が出来てしまい、内部が硬化せずに全体的に硬化が遅くなり、何よりも表面の仕上がりに影響が出て来るそうです。
 頼りは、投光器のみ。休み時間にちょっと覗かせてもらいましたが、息が出来ない位の異臭で、一分もせずに逃げ帰ってきました。この作業を、最低、5回繰り返します。
posted by vino at 15:46| Comment(0) | 修繕工事日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする