2009年09月30日

夏ハゼ

  
 
夏ハゼ.jpg

 先日手に入れた夏ハゼがすっかり紅葉して、青紫の実も色濃くなってきた。その晴れ姿を一枚、スケッチ。
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2009年09月28日

モデルさん

 
Oさん.jpg モデルさんを描くのは、初めての体験。じっと見つめると、思わず目線が来そうでドキドキする。
 でも、さすがにプロ、20分間、同じ姿勢を保って揺るがない。もっともっと、美人なんだけどなあ、Oさん、済みません。
「早描き過ぎます。もっとよく特徴を掴んで、線を大切に」と講師氏。変に緊張して、ぐったり疲れてしまった。

※クリック拡大100%でご高覧下さい。
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2009年09月26日

命の火

 
DSC05284.JPG

 大空にそむきて通草(あけび)裂け初めぬ 長谷川かな女

 緑の中に、ハッと目の覚めるような紫の点景。あけび紫としか形容できない、季節の色。

 手とどかぬ通草ばかりが目について 下村梅子

 高所にあって手が届かない分、かなわぬ恋心が思い出でて、切なくなる。


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 夕陽を浴びて立つ白い木肌の木立の向こう、斜面一面に曼珠沙華が燃えている。

 曼珠沙華わが去りしあと消ゆるべし 野澤節子

 命も恋も、時に業火となって燃え狂う。
 消ゆるべし、と詠わずにはいられない命の火は短く、儚い。
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2009年09月25日

結 露

 
結露.JPG 今朝は、この秋一番の涼しさで、軒先の金属性の雨樋の下端に、結露の行列ができた。夏の早朝に見られる朝露とはどこか趣がことなり、季節の移ろいを感じさせる。
 季節が進むと、草木の葉末に宿る露も霜となり、年配のひとは、今朝は水霜が降りたね、などと言う。晩秋に見られる露が霜となるのを、水霜、また露霜といい、辺り一面真っ白に置く冬の霜とは区別されているらしい。
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2009年09月24日

交差する時間 - ごきげんよう


雲.JPG

雲が行く

西の空から ゆっくりと
すじ雲の一群(ひとむら)が
空高く東へ行く
 
東の空からすべるように
わた雲がひとつ ふたつ みっつ
すじ雲の下を西へ行く

「どちらへ?」
「あちらへ。で、あなたは?」
「あちらへ」
「さようなら」
「さようなら」

すじ雲の中にいた
悲しげな顔をした少女は
わた雲が通ったあとには
笑っていた

「どちらへ?」
「わた雲に乗って、あちらへ」
「笑顔が素敵ですよ」
「ありがとう」
「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
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2009年09月23日

老 木

 
IMG.jpg 老木に花の咲く、と言えば幽玄の興につく。
 また、何やらの言い回しに倣えば、桜は花をのみ見るものかは、となる。
 秋は秋で、桜の老木の見ようもありそう。
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2009年09月22日

秋・三色


DSC05222.JPG
 
 手持ちの植物図鑑には、秋、七色に染まる、と紹介されているマルバノキ。紅く色付いた葉が目立ち始めた。葉が落ち尽して霜が降りる頃、独特の形をした深紅の花が咲く。


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 イワシャジンの紫花も白花も、鉢植えの親株はどちらも枯らしてしまった。その種が飛んだものか、小庭の一隅、トクサの一群の中に、ひっそりと青紫の花が咲いているのを見つけた。諦めていただけに、今年の花は、ことのほか愛おしく見える。


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 先日、二つの莢が弾けて、綿毛を持つ種が風に舞ってどこかへ飛んで行ったばかり。それを待っていたかのように、数輪の花が咲きだした。ブルースターはもともと寒冷地育ちの花だそうだから、朝夕の涼気に、故郷を思い出したのだろうか。
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2009年09月20日

70点

 テストで70点取れば、どうだろうか、「中の上」ととるか「上の下」ととるかはその人のレベルによって異なるのだろうけれど、これが命にかかわるとなると、なんとも心もとない。
 
 定期的に、各種心電図の検査を受けている。冠動脈の一部狭窄、僧帽弁逆流と、当方の心臓は、今までにも少なからぬ問題点を指摘されてきた。
 今回受けた心エコーでは、以前からあった僧帽弁の5%逆流のほかに、大動脈弁の15%近い逆流が見られるという。
 総じて、70点台の心臓の機能、と診断された。
「どうしたらよろしいでしょうか?」
「過激な運動は控えること。水分や塩分の取り過ぎに注意すること。水分は、通常の食事以外に、1000〜1200cc以内に抑えること。」
「コーヒー4〜5杯、お酒少々はいかがでしょうか?」
「許容範囲内でコントロールできるならいいですよお。」
 他に、24時間装着の「ホルター心電図」といわゆる心電図検査を受けた。
 ホルター心電図による診断は、解析に時間がかかるので、来月10日、主治医の診察の際に説明を受けることになった。
「心筋の動きは、まずまず、悪くありませんから、適度な運動と食事に気をつけて明るく生活しましょう。」

「胸キュンの出来事は、心臓に悪いのでしょうか?」とは訊かずにきた。
 来月受診予定の主治医は、若くてとびきり美人の女医さんなんだけど、どうなんだろうか?
 
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2009年09月17日

ある湖畔にて( 断 想 )

 
湖畔.jpg

 夕景を映す湖の水面を見ていた。
 湖の水面に映る夕景を見ていた。

 心景に照らしてみれば、どちらでもよい、というわけには行かない。心の焦点によって振り子は動き、水面と夕景を往ったり来たりする。
 夕景の中に何者かが現れ、水面を揺らしながら水中に没してそのまま姿を現さない。
 あれは何だったのか。
 波紋が消えて夕景が収まれば、また水面と夕景の干渉が始まる。どちらも鎮もっているのに、ざわついた雰囲気が漂うのは、湖の持つ一つの特性かもしれない。
 
 死は、確かに十全たる喪失である。何ものとも相容れない、厳然とした事実である。
 死の訪れと同時に、同時瞬間的に姿を消すことが死の形であったなら、死と対峙する心構えは、ずいぶん、今とは変わったものになっただろうけれど、いずれにしろ、亡骸は残された生者のものであって、死者のものではない。
 死の瞬間、死と亡骸は別のものになる道理は、しかし、なかなか、通常納得できることではない。
 そのことを思うことさえ、ひとの脳裏には思い浮かばない。
 
 湖のざわつきに、ひとが多少なりとも畏れを抱くのは、案外そんなことの揺らめきを予感させられるからなのだとしたら、夕景は、却って、心景の点景として大きな意味を持つことになる。
 水面を波立たせ、夕景をはぐらかし、水中に没したものは、ひとが魂と呼び習わした、掛けがえのない愛の形・・・。
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2009年09月16日

玉 虫

 
玉虫.JPG 散歩コースの市民球場で、玉虫の亡骸を見つけた。外野の芝生席に手足をたたんで静かに横たわり、西陽を浴びて輝いていた。
 玉虫はどうしてこんなに美しいのだろう。
 金属性のような光沢色を鳥類が怖がるから、という説があるらしい。しかし、他の甲中類の皆が皆このような光沢色を持つわけではないから、玉虫には玉虫の理由があるに違いない。だいいち、鳥類が怖がることを玉虫はどうして知ることとなったのか、これが分らない。
 生物界では、保護色、擬態とも、天敵から身を護るため、と説明されているけれど、相対で知恵比べをしたわけでもあるまいに、といつも不思議に思う。
 玉虫厨子に見るとおり、死んでなお、その色と輝きが劣化しないのも謎の一つらしい。
 美しすぎて哀しいくらいだ。
 死が美しいのではない。死はすでに、玉虫の亡骸を離れている。
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2009年09月15日

オーヴァーホール

 たかだかビス4本を外せば済む作業なのに、オーヴァーホールは大げさな物言いだけれど、使い始めて以来4年間、手入れせずにいたコーヒーミルの分解掃除をした。
 同じ豆を使っているはずなのに、このところコーヒーの味が少し違ってきたように感じていた。
 ドリップで淹れるには粗すぎるとは思っていたのだけれど、豆を挽く調節ネジが固くなって動かずにいたのをそのままにして使い続けていた、そのせいらしい。
 分解してみて驚いた。さして複雑な仕組みではないのに、どこに貯まっていたものやら、本体を逆さまにして振ったところ、出てくる出てくる、優に1回分、10gほどのコーヒーの粉が出てきた。
 豆を挽く心臓部を取り出して水洗いをし、組み立てなおしてハンドルを回してみたら、軽い、軽い。使い始めた時の感触に戻っている。
 このコーヒーミルを買った時は嬉しかったなぁ、と思い出しながら、昔の記事(「コーヒーミル見ーつけた!」)を読み返したら、完全に舞い上がっている。
 その時はブログ初心者で、写真をアップ出来なかったので、改めて御披露します。
 
DSC05211.JPG ちなみに、そのプロポーションは、
・身長:25p
・バスト:(受け口)7.5p
・ウェスト:3.5p
・ヒップ(ミル部):7p
・体重:4.7kg

 末永く使い続けて行くには、手入れが肝心と納得したことでした。
※写真はクリック拡大100%でご覧下さい。
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2009年09月14日

交差する時間 - 今日もありがとう

男が茄子を捥ぐ
男が胡瓜を捥ぐ
ポトッポトッと段ボール箱に入れる
優しく入れても音がする
だんだん重くなって
今日はこの辺で

女が茄子を刻む
女が胡瓜を刻む
サクッサクッと包丁を入れる
優しく刻んでも音がする

今日もいただきます
今日もありがとう
posted by vino at 17:08| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

秋路ぶらり

 
DSC05186.JPG 水府は蕎麦の産地、白い花を見に出かけた。里山の風景を塗り分けるように、今が花盛り。11月には、秋の新蕎麦が味わえる。
「そばぐれえしかつぐるもんがねえがらつぐんのよ。でぎんのははやいけんど、たいへんなんだよ」畑の草取りに忙しいおばあさんの話。そういえば、あちらこちらで働く人は、みな腰の曲がった年配者が多い。以前は辺り一面真っ白、という感じだったけれど、ずいぶん荒れ地が目立つ。今問題になっている、外来植物のアレチウリに覆い尽くされている。
 
 龍神大吊橋の駐車場で、フリーマーケットがある、というので、冷やかしに行く。
「これ、なんの鈴ですか?」
「銅だね」
「いや、何に使ったものなんですかね?」
「なんだろね」
 大小20個ほどの銅製の鈴が、埃をかぶったまま一本の紐に鈴なりに括られている。なかで、径5aほどの小ぶりの鈴が二つ目についたので鳴らしてもらう。
「これ、夫婦(めおと)だね。音色が違うべ?1個500円、二つ一緒に買ったら?」
「500円!?」
「縁起もんだ、値切んねえほうがいいよ」
「(え!?それって反対でしょ?)ま、いいか、二つください。それと、この鉈もいただきます」
「2300円、昔の鋼入りのホンモンだよ。2000円でいいや」
 何がホンモンだか分らないけれど、古いものを研ぎだしたものには間違いなさそうで、< 源長政 > という銘が入っている。
 
DSC05199.JPG 鉈は、薪ストーブの焚き付け用に薪を小割にするのに使う。これで、3丁揃った。
 帰り路、水府農産物直売所で、夏ハゼの鉢植えを買う。枝いっぱいに実がついて、早くも紅葉している。山では、秋一番に紅葉する木とのこと。
 
DSC05203.JPG 「この実、食べられますよね?」
「ジャムにすると美味しいって聞きました。でも私はまだ食べたことがないので、何とも」と40代の店長さん。
「あら、夏ハゼ、いいわねえ」。レジに並んだ妙齢の御婦人に声をかけられた。自分が褒められたようで、顔がコウヨウしてしまった。
 
 色々なものが、また増えました。

※写真は、クリック拡大100%でご覧下さい。
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2009年09月13日

交差する時間 - 結 ぶ

 
カラビナ&カラビナハーケンの2.jpg 

 結んで開いて・・・
 結び目をつくりましょう
 結べば繋がります
 
 結んだのに解(ほど)けてしまった
 結ばれたのに別れた
 結ぼうとして、結ぼうとして
 ぼやけて消えた

 カラビナとカラビナハーケンとは決して結べない
 結ぶことの脆さを知っているげに・・・
 断固として拒絶する、美しい拒絶
 そして、何という強固な接合
 
 それでいいですよね 
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2009年09月12日

ホテイアオイ

 
ホテイアオイの2.jpg

 緋メダカが卵を産むには、根毛の多いホテイアオイは格好の搖籃となる。今年の夏も、たくさんの卵を育ててくれた。しかし、いま元気に泳いでいるのは、わずか2尾にすぎない。ホテイアオイも冬越しが難しく、毎年、季節に買い替えている。夏の名残りの花が、雨にぬれて咲いている。
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2009年09月11日

花に露

 露は、秋の季語。他に、白露、初露、夕露、夜露、朝露、上露、下露、露の玉などがあって、古来、数多くの詩歌に歌われている。
 好きな歌を一首。

 露冴ゆる秋の末葉の浅茅原
       虫の音よりぞかれはじめける 源 具親

 茅(ちがや)の草紅葉は霜降りのあと。
 
006の2.jpg

 今朝、へヴンリーブルーの花びらに、小さな露が宿っていた。
 
002.JPG

 先日、花木センターで見つけてきたダルマ萩の鉢植えに、花が咲きはじめた。なんとも艶めいた色合いで、いま、日本伝統色の一覧で見比べている。
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2009年09月10日

風の盆異聞 - 駅はずーっと坂の下 4

「慣れた方は、富山駅から最終近くの電車で越中八尾駅まで来て、夜通しおわら風の盆を楽しんで、始発で帰られます」と、タクシーの運転手の話。
 町内11支部の町流しは午後11時でほぼ終わるけれど、それで終わらないのが、越中おわら風の盆。その後も、町内のあちらこちらで踊りの輪が出来、深夜の町流しの列が続くという。
 白々明けの頃、越中八尾の駅頭には、帰路に就く観光客を見送りに地元福島(ふくじま)町の踊り手たちが整列して、別れの挨拶をするのだそうだ。
 宵のうちから帰りの電車の時間を気にするようでは、風の盆を堪能したとは言えません、とあとで聞かされた。

 輪踊りの中で、浴衣姿の花がたみさんを見つけて、暇乞いをした。店を空っぽにして楽しそうに踊っている。
 お世話になりました。
「輪踊り、ぜひ一緒に楽しみましょう」と誘われていたのに、ウロウロしているうちに機を逸してしまった。

 踊りの喧騒を離れて坂道を下り始めると、夜道が段々暗くなる。

♪あのまち このまち ひがくれる ひがくれる
 いまきたこのみち かえりゃんせ かえりゃんせ
(「あの町この町」野口雨情 作詩 )

 
DSC05136.JPG 急に人恋しくなって、坂道の途中で立ち止まってしまった。

  新涼の身にそふ灯影ありにけり 万太郎
 
 間遠に立つ雪洞の灯りが、闇の深さを教えてくれる。
 道筋に沿って見はるかす限り、雪洞が闇の底へと続いている。
 駅は更にその向こう、坂のずーっと下にある。(了)


※文中の写真は、いずれもクリック拡大でご覧下さい。
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2009年09月09日

風の盆異聞 - 駅はずーっと坂の下 3

 Tさんは、富山市に住む陶芸家。
「僕は薪で窯を焚きます」
「えっ!?登りですか?」
「いえ、僕のはね、釉が融ければそれでいいんです、小さな窯です。ものは瀬戸です。胡粉を刷いてふんわりと。使ううちに味が出てくるという奴です」
「どんな焼きものなのか、思い浮かびません」
「僕の風貌のようなものかな」と、Tさんは澄まし顔。
 絵手紙に、< 恋の坂道 >とあったから、只者ではない御仁。

 友人の一人からメールがあって、何を見てきたのか、出し惜しみするな、と言ってきた。
 風の盆の由来はあちらこちらで、踊りの様子も今やyou tubeで見ることが出来ますからお任せするとして・・・。
 花がたみさんの店で、もうお一人、染色工芸家のイッコウさんにお会いした。
「染めは、何が一番難しいですか?」
「綿やね。絹は、あんがい素直というか正直に染まってくれるけど、綿はね、なかなか手強い、面妖やね」と、話しながら着替えを始めた。輪踊りの時間が待ちきれないらしい。
 
DSC05105.JPG 町内の決められた踊り手たちが、通り一杯に踊りながら行くのが町流し。男女とも揃いの衣装で踊る。これには、観光客は参加できない。
 それに比べて輪踊りは、言ってみれば無礼講。観光客も町内のおかみさんも旦那衆も、思い思いのいでたちで踊りに加わる。地元の人は、もちろん浴衣姿。



DSC05092.JPG イッコウさんのお召物は、小千谷縮(だったかな、越後上布と聞いたようにも思うのだけれどハッキリしない)。いずれにしろ、単衣の羅もので、染めは烏賊墨と言っていた。 
 角帯を貝結びに締めて、美丈夫の出来上がり。
 輪踊りの中には、このような粋人もいるので油断がならない。
 輪踊りは、道幅いっぱいに、長円方向は隣接する町内の境まで大きな輪になって踊る。

DSC05131.JPG ほぼ中央には、小さな円形の舞台が設けられ、美男美女、ひと組の踊り上手がスポットライトを浴びて模範演舞をする。
 道の両側に並んだ見るアホウも、目の前の踊り手の身振り、手振りに合わせて科をつくる。左耳のところで二拍、右の腰下辺りで一拍、次いで両手を前方に差しのべて、左手は掌を上に、右手は甲を上にして・・・。あれっ、足はどうだったかな?
 
 雪洞の灯明りの中を、むせび泣く胡弓の音に合わせて踊りの輪が進む。
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2009年09月08日

交差する時間 - アンソロジーが好き

詩集に限らず
人の足跡を辿ってみる
人の感性に浸ってみる
付かず離れず

時にはホンの一つの言葉に
引っかかって一日を過ごす
人の助けを借りてみる
人の喜びを聞いてみる
付かず離れず

時には言葉の海に
溺れてみる
豊饒な泡沫にぶつかって
あっちこち
付かず離れず
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No.500 交差する時間 - 続石

新聞の特集記事で
岩手県遠野市の < 続石 > が紹介されていた
「続石。よく見ると、笠石は台石の一つから浮いている。地震でもびくともしない」

この文を書いた人は幸せだなと思った
地が震えてなお動かない石を信じられるなんて
うらやましいと思った

石は少しずつ動いて
少しずつ居ずまいを正して
石は石で緊張している
と記事の写真を見て思った

※毎日新聞日曜くらぶ「聖地日和」から。平成21年8月30日
posted by vino at 08:56| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

交差する時間 - 仕舞われたハガキ

封書と違って閉じられていない分
ハガキには一見素っ気ない言葉が書かれる
でも言葉の二重奏のように
字句の重低音を聴いて胸が震えた
「封書にしたら却って悪いと思って」
「秘密を秘密のままにしておくには
少し隠して少し表にして」
ふたりの時に女が言ったのだ
届いた次の日にハガキが消えた
その在り処を訊けなかった
妻も黙っていた

昔の話。
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2009年09月07日

風の盆異聞 - 駅はずーっと坂の下 2

 
IMG.jpg 風の盆から帰って2日目に、Tさんから絵手紙が届いた。花がたみさんの店で紹介されて、一言二言挨拶を交わしただけで、ひょうーっと風のように人込みの中へ消えて行ってしまったTさんと、街中の酒店で再会。
「貴方とは縁(えにし)を感じるね。ちょっと訪ねたいところがあるんでね、一緒に行きましょう」と、連れて行かれたのが、数納さんのお宅。瀟洒な町家造りの玄関を入るとすぐに、勝手知ったる、とばかりに上がり込むTさんの後について靴を脱ぐ。
 もともと住んでいた築100年近い旧家を、9年前にリフォームしたという。柱、鴨居、付け長押しなど見えがかりの材はすべて、弁柄入りの拭き漆仕上げ。吹き抜けの階段室を見上げると、昔の太い松丸太の梁や桁が現しのまま。
 床の間と次の間の欄間には、木彫工芸で有名な井波彫りの松竹梅の透かし彫りがはめ込まれている。
 台所、水回りを除いて、どの部屋にも一切家具調度品は置かれていない、すっきりしたもの。
 今は別のところに住んでいるので、この建物は、風の盆の前後1カ月しか使用しないのだとか。なんとも贅沢なものだ。
 一通り数納さんに案内していただいた後、先客のいるお膳に促された。
「子供の頃ね、風の盆の翌日、知らない人が起きてきて一緒に朝飯を食った憶えがある。おふくろに聞いても『知らない人だ』という。そんなもんだね」と数納さんは屈託がない。
 
蕨の昆布〆.JPG いただいた奥さんの手料理のうち、絶品だったのが、ワラビの昆布〆め。味が滲みていて、日本酒によく合う。思わず箸が進んでしまった。
「ところで、どちらからお出でで?」と先客のお一人。
「申し遅れました。水戸徳川家の僕にございます」

 連子格子の向こう、通りでは囃しの声が一段と高くなった。隣の町内へ出張って行く時のものらしい。
 では、この辺で。一見も一見、飛び込みの者にも関わらずお持て成し感謝します。ごちそうさまでした。
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2009年09月06日

交差する時間 - すごすご

すごすごと逃げた
気持ちの良いものではない
逃げたこともちっぽけなら
逃げることもちっぽけで
だから逃げないように
逃げないで済むように
と思うのだけれど
思うのはいつも
すごすご逃げている最中
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2009年09月05日

風の盆異聞 - 駅はずーっと坂の下 1

 9月2日、おわら風の盆を見に、越中八尾に行く。

 一粒の雨に畳なる風の盆

 一粒の雨でも降ったら中止になると聞いていたので、訪ねるお店の軒先にでも、とお呪い代わりに一句ひねって持参したものの、晴れ時々曇りの、祭り日和。
「上新町?そやね、ここから(越中八尾駅)やったら4、50分てとこやね」
 八尾は坂の街、しかも訪ねる上新町は坂を上り切った辺りと聞いて、慌ててタクシーを拾って八尾大橋まで。下を流れる井田川からの川風が心地よい。
 案内板と人の流れに従って坂道を上り、息が切れそうになったところでヒョイと目に入ったのが、訪ねる「羅Bee & 花小筺」、ブログで知り合った花がたみさんのお店、小体な構えながら雰囲気のある骨董店。
 
DSC05120.JPG 初めてお会いしたのに、花がたみさんには旧知のごとくざっくばらんに迎えていただき、ありがたかった。
 挨拶もそこそこに、三味線、胡弓、歌声に誘われてさっそく二階へお邪魔する。
 二階の腰窓に寄って祭りを見物する、これって、長年の夢だったのです。
 それからは、お店を出たり入ったり。
(写真は、「羅Bee & 花小筺」さんの、ステンドグラスの軒灯) 

DSC05113.JPG 近くの曳山展示館の特設舞台で踊りを見ては、西新町、諏訪町、鏡町と、人込みを縫って表通り、路地裏通りをウロウロ見物して、疲れると一息入れにお店の二階へ。知らない土地で遠慮なく出入りさせていただいたうえに、足を伸ばして寛げるなんて、こんな嬉しいことはない。
 挙句、近所の酒店で地元の酒を買ってきて、花がたみさんのお店の飾棚で見繕ったお気に入りの猪口で手酌酒まで始めてしまった。
 窓の下には、三味線と胡弓の音に合わせて、哀調を帯びた歌声がゆったりと流れてゆく。
(2枚目の写真は、曳山展示館前の小路。表通りから一本入ると、静かなもんです。これがお祭り。)
posted by vino at 17:34| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする