2011年12月31日

程なく 梅の季節

ぬしいかに風渡るとていとふらんよそに嬉しき梅の匂ひを 西行
posted by vino at 19:48| Comment(0) | 今日の一行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月25日

交差する時間 - ひぶみ

筋肉に絡む全ての柵が解けて
骨格を失くした あとで
ひとつの記念碑が生まれた

ちゅうぼおを削がれ
眼球は光を失い
かわりに記憶が膨らんで
その礎となった

瞑すべき碑文は雨滴を集め水脈をなし
共に贄のごとく何処へか下って行った

---訪れる人よ辿るかなれ
そは怠惰な精神の
快感を伴う痙攣の流れ

そうだ 今は過ぎた夏の盛りに
慣れ親しんだ蝉の産んだ一個の卵を探さねば
その小さな球体の中に
地中の秘密が隠されている
その小さな球体の陰に
地上の有象無象が潜んでいる

実に他愛のないことだ
片荷を下ろした気侭でいれば
擬物法が「記念」を溶かしてくれる
かくして 骨格のない碑が
風に吹かれて荒野に屹立する

---訪れる人よ辿るなかれ
そは自涜の流した偶の
数滴の干涸ぶるひとりごと
posted by vino at 11:39| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月18日

確率論のこと

IMG.jpg ひょんなことから、「筑波大学理工学群数学類」の入学案内パンフレットをいただいた。
 
 高校時代に習った数学は、今でも時々夢に出てくる。赤点すれすれで進級できないぞ、と数学の担当教師が仁王立ちになる。
 数学の時間に、国語や英語の参考書を開いていた罰だから仕方がないはずだけれど、理数系を目指す友人に頼んで最低限のレクチャーを受けて、ボーダーラインを浮き沈みしながら「数学」を乗り切ったことを思い出した。とはいえ、いまだに微分積分の何たるかを知らないでいる。
 
 曰く、関数解析学、偏微分方程式論、微分幾何学、代数幾何学、数理統計学・・・。
「数学」と一括りにして忌避していたけれど、パンフレットに紹介されている授業科目は、まさに数学類群で、1年から4年までで50を超えるから驚く。
 
 話が逸れてしまった。
 この「筑波大学理工学群数学類、入試案内パンフレット」のレイアウトに、「図書館で」が掲載されていると知って、二度びっくり。
「図書館で」は、当ブログにもたびたび登場願っている、とうもろこし人形作家、木村拓子さんの作品で、今は当方の自宅玄関に、ケースに納めて飾ってある。先年の作品展のあと、木村さんからそっくり贈っていただいた八体の人形群。
 3.11.のときも、その後の余震のときも、人形たちは横に転がされたりあお向けにされたりケースの中は散々だったけれど、髪も乱れず怪我もなく、今日も静かに朗読に聴き入っている。お気に入りの、最前列で膝に肘をついて目を輝かせている女の子も元気だ。
 パンフレットのレイアウトと、当方のケースの中の座り位置は少し違っているけれど、読み手の女性を見るそれぞれの視線は変らない。改めて、人形の完成度の高さにも驚く。
 パンフレットに、どうして「図書館で」がレイアウトされたのか不明だけれど、感性が響き合うとこうなることもありか、と不思議な気持ちでいる。
 同封していただいた木村さんのお便りには、次のように記されている。
「・・・今年の漢字が絆、昨年は繋でしたか? みんなどこかで一本の糸で結ばれているのですね・・・」

 そういえば、高校時代の数学Tの教科書が、なぜか一冊、書架に収めてある。この不思議な出会いと繋がりは、数学でいう数理論理学、群論、確率論の範疇に適うものなのだろうか。
posted by vino at 11:44| Comment(2) | 独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月12日

会話T

「そんなことを言われると、僕は毀れます。」
「毀れるって、形のある人の言うことよ、きちんと、ある形の。」
「形のある人、ある形の人・・・。でも、僕毀れます。」
「毀れちゃえば・・・。」
「いっそのこと、透明体になります。」
「そうね、その手があったわね。それから毀れる?」
「いえ、永遠です。水か空気か、ある形のガラス体かガラス体のある形か・・・。」
posted by vino at 19:48| Comment(0) | 掌編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月11日

好文亭他復旧工事その4

PA040663 (450x287).jpg PA040664.JPG PA040673.JPG PA110785.JPG PA060678.JPG
 ずいぶんご無沙汰しました。
 その後、復旧工事は順調に進んでいます。今年は、あわせて定期的な修繕工事も平行して進められていますので、あわただしい毎日です。
 復旧工事は震災対応でその主なものは、好文亭の黄土砂壁の復旧、和紙貼り壁の復旧、園内の各所トイレの屋根瓦や面戸漆喰の修繕などです。
 一方、修繕工事は、好文亭奥御殿板の間、廊下、板の間の広間である西塗縁などの摺漆(拭漆)、黒塀の屋根の修繕、入場門の門柱や扉の取替え工事、三つある井戸屋形のうちの一つを改築、廊下縁板の取替えなどなど、盛り沢山です。
 左から順に説明します。
 好文亭玄関の右手にある楽寿楼の1階部分、北面の壁です。崩落して傷んだところを掻き落して部分補修します。竹小舞が見えているところには、荒壁を付け、順次、中付け、中塗り、上塗りと進めます。その模様は後日。
 亭内の壁補修は、やはり既存の傷んだところの掻き落しから始めます。ほぼ全面に、床保護のクッション材を敷き、さらにブルーシートで被って作業します。養生、作業、清掃の繰り返しです。
 へらを使って、既存の上塗りである黄土砂を丁寧に掻き落します。その際、下地の土と混じってしまっては、上塗りに再利用できませんから、慎重な作業が要求されます。
 荒壁まで傷んでしまったところは、荒壁まで掻き落します。ゴミや不純物を取り除いたあと、新規に追加した荒木田土とよく混ぜ合せます。左官工事とは、手順を踏まないと次へ進めない「生もの」を扱う仕事だと言うことが分かります。
 この冶具は、さて何でしょうか。ヒント:奥に見えているのは、竹小舞に使う、真竹です。
 
 次回をお楽しみに、本日はこれにて。
posted by vino at 11:45| Comment(0) | 修繕工事日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月04日

・っかり

 昨日、「うっかり」して「がっかり」した記事を書いたら、妙に、この「・っかり」が気になって国語辞典やらを調べてみたけれど、はっきりしない。
 当方が思いついた「・っかり」を列挙すると上記の他に、「きっかり」、「しっかり」、「すっかり」、「ちゃっかり」、「どっかり」、「ほっかり」そして「ぽっかり」の九つ。辞典で見つけたのが、「ずっかり」と「ぼっかり」の二つ。
「うっかり」は「うかり」の促音化、とあるだけで、他は各語の使用例や意味らしきものの説明だけで文法上の説明が見当たらず、ますます謎が深まってしまった。
「く・あり」が転じたとも取れるものもありそうだけれど、どうだろうか。
 面白いのは、この「・っかり」の前の「う」や「し」や「す」などで、一音の語にもかかわらず、文法上は大変な活用形があったりして、なかなかの曲者なのだ。
 曰く、助詞、助動詞、格助詞、間接助詞、終助詞や接続助詞・・・。
 特に「し」の項を引いて納得したことがある。以下、「辞海」(金田一京助編纂・三省堂)から引かせていただく。

---[動詞「する」の中止形「し」の転じたものか]活用語の終止形を受けて、@並べあげて、下に言いつづける場合に用いる。A否定の推量を表す語の下について、相そむく結果を伴う条件を表す。---
 
 この説明を読んですぐに往年のサッカーの名選手、中田英寿を思い出した。彼は、試合後のインタヴューなどで、さかんに、この「し」を連発していた「し」、以来、最近のサッカー選手に至るまで、まるである種サッカー用語のごとく、「し」によって話をつなげてゆく。長谷部しかり、長友しかり、本田しかり。そのほかの選手もそうだと思うし・・・。それはまさに、サッカー試合でのパス回しに似ている。トラップによって球を止め、味方の足元に繋げる。あちらと思えばこちらへとフェイントで相手をかわし、意表をつく結果に導く。一つところに止まることがないし・・・。
posted by vino at 15:46| Comment(2) | 独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月03日

かくてなむ・・・

DSC06874 (450x410).jpg なんとも情けない「もの・がたり」にはなってしまった。三度目の正直とはよく言ったもので、手帳の中身が粉々になって洗濯機の脱水ドラムに張り付いている。
「なに、これ!?」
(あー、またやってしまった。しかも今回は、絶望的だ〜)
 
「洗濯物を出すときは、ポケットの中身をよく点検してちょうだい。」と、洗濯のたびに、家人に小言を言われている。
 この手帳も、今までに二度、ズボンのポケットに入れたまま洗濯してしまった。
 帰宅するとすぐに浴室に直行するので、作業着を洗濯するのは、いつの間にか当方の役割になっている。二度とも、洗い終えて洗濯機から取り出すまで気づかずにいたけれど、そのままポケットの中に残っていたので、ばらばらにならずに済んだ。が、今回はいけなかった。ビニール製の表紙と厚紙の中表紙を除いて細切れになってしまった。
(どうしよう、あのメモ、日付や数字や誰かさんの住所や電話番号。約束はなんだったかな・・・。)
途方にくれてももう遅い。
 おまけに、一緒に洗ったジャンパーのポケットからは、な、なんと!! USBメモリーまで出てきたではないか!南無さん・・・一瞬目を瞑った。
 もう、これ以上は、ト、ホ、ホでございます。
posted by vino at 17:16| Comment(2) | もの・がたり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする