2013年06月25日

薔 薇

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 針ありて蝶に知らせん花薔薇 乙由

 蝶ならば花に飛来するものを、アマガエルはどうやって棘のある茎をよじ登ってきたのか。赤い薔薇の補色とも言える新緑の葉そのままに、所を得てとは思えども・・・。食餌の都合もあるのだろうけれど、この種の蛙の居住まいには驚かされることが多い。
 
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2013年06月20日

交差する時間 - 反古

書き損じた紙を丸める

皺を解かないまましかめっ面でいる
平板で無口だったものが
山あり谷あり、陰影を刻んで・・・

オイ、妙に存在感があるなぁ

切れ切れに見える字面が
脈絡のないかに見えた文章が
 
オイ、妙に意味有り気だなぁ

小さな平板に文字を書き足す

思い直して皺を伸ばしてみても
心像は戻らない
posted by vino at 16:25| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月17日

ヤマユリ

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 散歩コースの一つである西山公園には、自生のヤマユリがあちこちに見られるけれど、例年、花を見る前にイノシシに百合根を掘られる株が多く、悔しい思いをする。それかあらぬか、イノシシの牙を逃れてか、遊歩道の階段の偽木に隠れるようにある一株を見つけた。この上は、無事に花を見たいもの、そっと跨いで通り過ぎた。
 小庭のヤマユリは、二株増えて三株になった。まだ草茎は弱々しいけれど、いくつかの蕾を付けている。

 百合折らむにはあまりに夜の迫りをり  橋本多佳子
 
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2013年06月14日

交差する時間 - オブリガート

麦の枯れる日 その穂先では
いくつかの命が凝縮される

昼光の中に
見えずにいる確かな星の群れ
の数に照合して

天空に祝祭の声は満ち
指揮棒を落としたまま
呆然と佇む<人>は
足に生えた根毛に戸惑っている
だとしても
歯痛に苦しむよりはましだ

青い空を叩くのは
心弱い情人の習い

銅版の屋根に留まるな
この爽やかな麦の秋に
何の道具立てか

天空に祝祭の声は満ち
白い指揮棒が空に舞い
posted by vino at 10:19| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月11日

『土』固まる

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(楽屋にて。勘次の上目遣いのままに。素面ではないので、臆面もなく。)

 7〜9日4公演、無事終えました。300人劇場(市生涯学習センターふれあいホール)は、いずれも補助席が用意されたほどの盛況だったようです。(スタッフからあとで聞かされました。)
 長塚節の生家のある常総市や県南、県西からも遠路たくさん観に来てくださいました。
 終演後、ロビーでお見送りするときに、ご年配の方々が目頭を濡らしたまま近づいて来られて声を掛けてくれました。世代的にご自分たちの辛く苦しい時代と重なって感じられた、と。
 重いテーマでしたが、観てくださった方々の胸に少しでも届いたかと思うと、こんな嬉しいことはありません。握手をしていただいた方々の手の温もりは、当方の手の中に今も残っています。
 最後に、劇中のひとつの山場である長口舌のシーンを・・・

勘次: あんまりだんべ、・・・おんじら、そうだごど・・・言うだげのこどしてくれだが、一度(えぢど)だってかまって呉れだごどあんめぇ、どごで乞食(こじぎ)しようと、俺(お)らのかってだぁ!・・・(村の者に向かって)お前(め)えら、俺らを年がら年中、なぶり者、笑え者にして来たぁ・・・俺らなんにも言わなかったけんど、ちゃんと胸に畳(ただ)み込(ご)んであんだ。・・・吝(しわ)ん坊だ、泥棒だ・・・なんで俺ら馬鹿(ばが)にさってたんだ。俺ら、村一番(むらいぢばん)の貧乏だがんか?そんだが、貧乏は俺らがせいがよ?・・・俺ら働(はだら)ぐこっちゃ誰にも負げねえぞ。そんだのに、いづも貧乏で馬鹿(ばが)にさってんだ。・・・俺らな、餓鬼(がぎ)ん時(とぎ)がら、腹一杯(はらいっぺぇ)食ったごどのねえ男(おどご)だ。俺ら、この年になっても、田圃一枚(えぢめえ)畑(はだげ)一枚持ったごどのねえ男だ。(涙がポロポロこぼれている)そんだがら、馬鹿にされ、こげにさってんだ。・・・俺ら田圃一枚でも持って、土間さ年中俵ぁ摘んどぐようになって、見返(みげえ)してやんねじゃ、死んでも死ねねんだ・・・俺ら何のための吝ん坊だ!?何のために暗(くれ)えっから暗えまで働(はだれ)えでだんだ!?・・・そんだのに、そんだのに、・・・火事なんざおん出で・・・何もかも丸焼げでねえが・・・俺らにゃ、はぁ・・・何にもなぐなっちゃった。明日食うもんもねえんだ。藁ん中(なが)さもぐって寝でんだ。俺ら、もう、目の前(めえ)が真っ暗なんだぞ!・・・爺様(じっつぁま)連れで来て何処(どご)さ寝がせんだ、何食わせんだ!?言(ゆ)ってくろ!何食わせんだ!?何処(どご)さ寝がせんだ!!(狂人のような眼をし、呼吸をはずませている)

 演じながら、舞台の板に涙がポタポタ落ちるのが見えました。

 おつう(娘)役のSさんの台詞も耳に残っています。

おつう:《(働かぬものに対する憎悪をもって)》そんだって・・・働かねじゃくえねえぞ。(幕)
※台本の、この括弧書きの意味が、胸にこたえます。

「農民の汗と涙が土を濡らして、その土はあたらしい芽を育んでゆく。」いい文章でしょう?観てくださった方に、公演パンフレットといっしょにお配りした「ご感想」依頼のアンケート用紙のキャプションです。演出の木村夫伎子さんの熱い思いが伝わってきませんか?

posted by vino at 11:10| Comment(2) | 観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月02日

交差する時間 - 旅人

旅行くものにとって
今の時間とは何だろう
置いて行くには生々しく
旅装束にはふさわない
 
一歩踏み出した次の歩みに
旅人は何を見るだろう

自動装置の付いた日めくりカレンダー
早送りのコマの瞬き

今のときに置いて行かれるのは 旅人
しかし
今の時を措いて何も持たぬのもまた 旅人
posted by vino at 14:16| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月01日

交差する時間 - カッコウ

カッコウが一つ鳴く
「私はあと何年生きるか?」
カッコウが二つ鳴く
カッコウが三つ鳴く

カッコウは今忙しい
託卵の首尾を雌鳥に
確かめねばならない
 
カッコウが一つ鳴く
「私はあと何年生きるか?」

あの人は死にたいのだろうか?
あの人は死が怖いのだろうか?

カッコウが二つ鳴く
カッコウが三つ鳴く

カッコウの鳴く回数だけ
あの人の余命がある と

カッコウは今忙しい
自分たちの卵の行く末を託す
その首尾を確かめ合うために鳴く

カッコウが一つ鳴く 明るく
posted by vino at 15:52| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする