2013年07月29日

No.900 稲の穂

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 美しき稲の穂並の朝日かな  路通

 分蘖が進んで緑が濃くなった田圃では、早くも稲の穂が出始めた。
 掲句のように、穂並とまでは行かない。まだ、ポツリポツリと走り穂を数える程度。
 やがて、花穂が出揃えば稲の花盛りとなって田の面はしばらく白っぽい緑を呈する。

※「稲の穂」や「稲の花」は、秋の季語。田植えが早くなった昨今、季節にずれが感じられる。
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2013年07月26日

酒は緑にして

 かんがへて飲みはじめたる一合の二合の酒の夏のゆふぐれ  若山牧水

 斗酒敢えて辞せず、という季節は過ぎたのだろうか。
 冷やで五合温めて五合、日に一升は飲んだときもあったという牧水にして、一合、二合の酒に逡巡する、徳利を掻き抱くように端座して己を省みる夏の夕間暮れ。
 牧水のこの歌を味わうときに思い浮かぶのが、韋荘の「題酒家」

 酒緑花紅客愛詩  酒は緑にして花紅く客は詩を愛す
 落花春岸酒家旗  落花の春岸 酒家の旗
 尋思避世為逋客  尋思して世を避け逋客と為る
 不酔長醒也是癡  酔わずして長く醒めたるはまた是れ痴ならん

 ものの本によれば、酒家の旗は青い色だそうな。緑酒とは酒の美称というけれど、かのランボーに「居酒屋みどり で」という詩があるのは偶然なのだろうか。
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2013年07月23日

寄せ植え

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 明け方まで降っていた雨で少しは涼しい朝になるかと思ったけれど、日が昇ると、蒸し蒸しと暑気が肌にまとわり付く。ここ2、3日、風の涼しい日が続いたので殊のほか、身にこたえる。
 寄せ植えの鉢ものが、久しぶりの雨に生き生きとしている。
 右上から時計回りに、アルテルナンテラ・パープルソルジャー、ヒューケラ・パリ、ヒューケラ・ファイヤーチーフ、ヒューケラ・シナバーシルバー、そしてワサビ。
 ワサビの爽やかな緑葉と赤紫系の勝ったヒューケラなどの葉の調和が美しい。ヒューケラのピンクの花が存在感を主張している。
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2013年07月18日

ああ、夏草や

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 散歩道の源氏川堤防に生い茂っていた夏草が刈り払われて景色が一変、ガラ〜ンとしてしまった。
 ワルナスビ、ムラサキツメクサ、ヒメジオンたちの群生も、クズの蔓も、緑の中に点々と色を添えていたヤブカンゾウも消えてなくなっている。「ブッシュ・カッター」というキャタピラーの付いた乗用式の草刈機で一気に刈り払われた。あっけないものだ。 
 堤防が本来の台形の姿を見せて、川が大きく見える。今まで夏草に被われていた川の流れが見えるようになった。翡翠が川面近くを飛ぶ姿が見られるかもしれない。
 ま、言ってみれば、夏ヴァージョン。

 おしなべて夏草となり哀れなり  伊藤柏翠
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2013年07月16日

旬のもの

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 家人の実家からは、年に5、6回、季節の野菜が届く。とうもろこしは早くも2回目。茹で上がったばかりのホカホカにかぶりつく。旬のものは、味もさることながら香りが立って、季節に出会えるありがたさもいっしょに味わえる。
 とくに今年は、6月に、『土』の舞台で他所の畑からとうもろこしを盗んだ役を演ったから、その思いもひとしおのものがある。米など口にすることがままならずに雑穀やいも類を主食としたそんな時代や身分階級のあったこと、自分たちにも食糧難時代があったことなどが思い出されて、とうもろこしの甘い味に、少ししょっぱい味が混じってきた。

 貧農の軒たうもろこし石の硬さ 西東三鬼

※とうもろこしの季語は「秋」、花は夏季。
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2013年07月06日

ヤブカンゾウ

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 朝夕の散歩道である源氏川堤防の遊歩道の両側には、いま、ワルナスビの花が満開。薄紫の、五弁の花びらに黄色の雄蕊、翡翠のような緑色の小さな雌蕊がかわいらしい。しかし、花にだまされてはいけない。この草の茎には大きな棘があって、花や葉の陰に文字通り牙をむいている。どこか野菜のナスの花に似ているので、名前の由来もその辺にあるのかもしれない。去年はムラサキツメクサのほうが勝っていたから、その後の勢力争いで分布を広げたらしく、今年は両者ともに拮抗して咲き競っている。
 そのワルナスビとムラサキツメクサの花の下からところどころ道を這うようにニュルッと頭を伸ばしているのがクズの蔓で、ひところはこのクズが一番勢力をはって繁茂していたように覚えているけれど、盛者久しからずは植物の世界でも避けられない理のように見える。
 野の草は、一見何事もない静寂の中で勝ったり負けたり、また盛り返したり、熾烈な闘いを繰りひろげているのだろう。
 そして、それらを睥睨するようにすきっと花茎を伸ばしているのがヤブカンゾウだ。緑の濃い草叢の中では株の数は少ないながら、この朱色の花が目に付く。一日花だから、朝に見た花も夕方の散歩のときには、一段と濃い朱色となって花口を絞られたように花弁を閉じてしまう。
 でも、その隣には、明朝咲くべくいくつかの蕾がすでに用意されているのが嬉しい。

 甘草の芽のとびとびの一と並び  高野素十
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2013年07月05日

冷めたコーヒー

「お茶、冷めてしまいましたね、淹れ替えましょう」

 緑茶を飲んでいて飲み残しの茶が冷めたとき、ひとは茶碗の茶を薬缶に戻して温めなおしたりはしない。 飲み残しの茶をあけてあらたに急須から注いでくれる。

 コーヒーの場合はどうだろうか。
 客用ならそのまま飲み残そうが、冷めて少し苦味が勝ったものを客が飲み干そうが冷めたままのカップは置かれたままになり、滅多にお替りとはならないように思う。もっとも、ファーストフード店のように電動のコーヒーメーカーを使用している分には話は別だけれど。
 当方は、当たり前のように自分専用のコーヒーサーバーに戻してアルコールランプで温めなおして飲む。
 うっすらと湯気が立ち始め、対流が起こる。ガラス製のサーバーに手を触れて、ア、チ、チ、となるかならないかでランプの火を止める。湯気が蒸発したままでは、いわゆる煮詰まった状態になるので、湯気が落ち着いてガラス面に滴となり、コーヒーに戻るのを待ったら飲み頃の温度の80〜85℃。コーヒーの温度も味のうち、と思いこそすれ、温めなおしのコーヒーを不味いと思ったことはない。
 行きつけのカフェに絶妙の温度でコーヒーを出す店がある。店員に訊ねたら、当然カップも温めるしコーヒーを淹れるお湯の温度も調整しているとのことだった。名のある喫茶店でさえ、最初のひと口が熱すぎることはしょっちゅうだから、そのカフェの心遣いはありがたい。適温で出されたコーヒーは、最初のひと口からコーヒー本来の旨みを味わえるし、香りも立っている。美味しいから冷めるまで飲み残すこともない。従って、「コーヒー冷めてしまいましたね」ではなく「お替り如何ですか?」となる。
 一人前を15gほどの豆で淹れるそうだから、1杯分のカップに少し余る。それを、客の飲み具合でお替りとして供するのだそうだ。 
 もちろん、温度管理は最後までしっかりとして。
posted by vino at 13:40| Comment(0) | 独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする