2015年05月30日

郭公(ホトトギス)

 郭公いかなるゆゑの契りにてかかる声ある鳥となるらん 西行(異本山家集)

 早口言葉の練習にある、「(東京都)特許許可局」と、なるほど聞こえなくもないホトトギスの鳴き声。
 広辞苑には、〈 往々誤って「郭公」を「ほととぎす」と訓む 〉とある。
 夏告げ鳥という別名もある通り、この季節、その独特の鳴き声でお馴染みだから、むしろ「時鳥」と書く方が判りやすい。
 西行さんは、郭公とも、時鳥とも詠んでたくさんの秀歌を残している。
「時鳥を」と詞書きして、
 
 ほととぎす聞く折にこそ夏山の青葉は花に劣らざりけれ (山家和歌集)

 異名の多い分、様々に詩歌句に詠みなされ、子規、不如帰などとも表記される。
 また、方丈記は云う。
---夏は郭公を聞く。語らふごとに、死出の山路を契る---
 
posted by vino at 18:10| Comment(0) | 独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月15日

三寸アヤメ

IMG_1824.JPG

・・・三寸ばかりなる人、いとうつくしうて居たり。(竹取物語)

 こめ工房で、鉢物のアヤメを見つけた。寸が短いので三寸アヤメというらしい。径20センチほどの鉢に、50株もあろうか、蕾がたくさんついている。最近は、アイリス、カキツバタ、ハナショウブなど、大振りの花が好まれるらしく、花の形も色合いも様々に見る。それらに比べれば、一見、なよとして見えながら、良く見ると凛と張った姿形のアヤメの美しさは捨てがたい。

IMG_1830.JPG

 水府地区の里山近くにある行きつけのカフェ、ボーノボーノさんの庭先に群生しているアヤメを見つけた。高台なのに勢いよく花が咲いている。テラス席で、コーヒーとチョコレートケーキ&シフォンケーキを楽しむ。愛犬のマロンも、椅子の下で薫風に心地よさそうにしている。

IMG_1841.JPG

追記:19日現在、ほぼ満開です。
posted by vino at 14:50| Comment(0) | 庭には・・・ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月14日

交差する時間 - 色に添う

絵の具の色色を並べ見る
色は一々言葉に転ずる途を持たずにいる

透明に色があるとは不遜な物言いか
色に寄り添う
気配とも
断層とも

気流の揺らぎを
陽炎と言ったとて
何を言ったことにもならない
いっそ
無の揺らぎとも
戦きの碧潭とも
posted by vino at 13:08| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月13日

交差する時間 - 木と言葉と

---長田弘さんを悼んで---
一本の木を植えた次の年
その隣にもう一本の木を植えた。
次の年も、もう一本の木を植えた。
木は、しかし、林をつくらず、ましてや
森にはならずに、ただ、立っている。
木陰が出来た。
木の間に道が出来た。
風が、木漏れ日を転がしながら
通って行った。
木の葉のささやきが、通る人に語りかけ
言葉になった。
posted by vino at 16:37| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月08日

川の眺め

 朝の散歩の途中、源氏川の堤防の遊歩道で、一人の女子中学生に会った。道の真ん中辺に、自転車にまたがったまま、しきりに川を見ている。視線を追ってみたけれど、特に変わった様子は見えない。学校への方向とは逆になる道。誰か友だちと待ち合わせている風にも見えない。
「何か考え事ですか?」と、冗談めかして訊ねる。
「アッ・・ハ・ハ・ハ 」と、明るく笑って、「川を見てるんです」と、言った。 白いヘルメットが朝日に光っていた。この春、中学生になったばかりで、制服も真新しい。
「方丈記の世界ですか?」(行く川の流れは絶えずして・・・)
「えっ!?あ〜、ア・ハ・ハ・ハ」
 顔色がよく、明るく元気な声なので、おじさんが心配するようなことはないらしいのだが・・・。
posted by vino at 12:03| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月07日

芽生え

鉄板.JPG 
 敷き鉄板のフック掛けの穴に、何かが芽生えている。
 建築現場で、路盤を保護したり、重機が乗り入れる地盤を確保したりするために鉄板を敷く。レッカー車で積卸しする際に使う径5センチほどのフック掛けの穴に、名も知らない草が芽生えている。
 頻繁に往来する工事車両に踏みしだかれてしまうだろうか。これからの季節、鉄板は手を触れると火傷しそうに陽に焼かれる。
 
 
posted by vino at 08:43| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月04日

十二単衣

IMG_1793.JPG

「どう、いいもんだろう?」と、ちょっと得意気にかみさんへ。
「あ〜、十二単衣ね、あの侘び助の下に沢山花咲いてるでしょ、知らなかった?」
(そんなあ〜。きのう物産センターで密かに買い置いたものを、今朝鉢上げして見せたのに・・・。)
 
 庭に水 新し畳に 伊予すだれ
     透綾縮(すきやちぢみ)に色白のたぼ
 色白の肌の上にじかに紺の透綾を着る・・・透きとおって見えちゃう・・・
 
 名前は十二単衣ながら、この花、何故か薄物の風情、そそられますなあ〜〜〜
posted by vino at 09:17| Comment(0) | 庭には・・・ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月01日

どうしよう・・・精好仙台平の謎

 朗読の発表会に読みたいと、前から温めていた、立原正秋著『雪舞い』の下読みを始めて、あれ!?という文章にぶつかった。
 世阿弥の花伝書を下敷きに古今集の小野小町の歌を引き、男女を問わず美しく萎れることの難しさを、立原流に描いた「萎れし花」。能楽堂で出会った老女の得も言えぬ色気について語りだし・・・
《 ・・・その日に観た能は全部憶えていないが、あの老女の風姿だけは正確に記憶にとどめている。精好仙台平の白生地に老梅の水墨画を揮毫した気品ある訪問着で、けっして美人ではない。・・・》とある。仙台平は、ご存知のように仙台市にある、その名も合資会社 仙台平だけが生産している独特の織物で、袴地や帯地に特化しているはず。白生地や訪問着仕立てなどあるものなのだろうか。不明のまま朗読するわけにもゆかないと、先日、仙台平さんのホームページから、このような生地があるのかどうか、このような仕立てが可能なのかどうか訊ねることにした。
 このほど次のような返事を頂いた。
〈 精好仙台平の生地は、先染めされた後、縞柄や色無地の袴地・帯地などに織られます。白生地で織ることはありませんので、記述のような生地や仕立てはできないと存じます。〉
 
 立原氏は、確か普段着は結城紬などを愛用するほどの着物好きで知られた御仁だったから、その薀蓄の一端を披露されたのだろうけれど、今となっては確かめようもなく、どうしたものか、花は萎れたままにして置くべきか、考えあぐねている。
posted by vino at 18:19| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする