2016年12月31日

今日の一行の七十

 なんて多くの日々が、またしても沈黙のうちに過ぎ去ってしまったことだろう  F・カフカ
posted by vino at 10:06| Comment(0) | 今日の一行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月24日

バッハを聴く

 知人に教えてもらった、バッハの”無伴奏チェロ組曲”を聴いている。ミッシャ・マイスキーの1999年録音盤。
 実は、来年1月にある図書館友の会の「大人のためのおはなし会」で朗読する芥川龍之介作「藪の中」のためのB.G.M.をあれこれ物色中だったところ、一度聴いてみて、と紹介されたのだった。以来、YOU TUBEやネットショップの試聴版で、ヨーヨー・マ、カザルス、ロストロポーヴィチ、シュタルケン、ローゼンなどを聞き比べた結果、ミッシャ・マイスキーの演奏が当方の感性にいたく響くものがあった。
 お話し会では、媼と女の章を講師のないとうきみこさん(元IBSアナウンサー)にお願いし、当方は、木樵り、多襄丸の章を読む。(時間の関係で、原作の味を害さない程度に一部割愛せざるを得ない。)そして最終章「巫女の口を借りたる死霊の物語」は、ないとうさんの巫女の声と当方の「男」の声とが重ね、重なりして大団円へ、となる。
 ところが、いざB.G.M.のための編集を始めて何回も何回も繰り返し聴くうちに、余りにも主調音が勝ち過ぎてB.G.M.には向きそうもないと感じるようになった。曲も演奏も良過ぎて、お客さんはそちらに気をとられてしまうのではないか・・・。TVのドラマや映画にも採用されたことがあるらしいのだけれど・・・。
 編集作業そっちのけで、チェロの音色に聞き惚れている。中で、第2番ニ短調BWV1008のサラバンドが胸に沁みて来るので繰り返し聴くうちに、メロディーを覚えてしまった。
 B.G.M.どうしよう・・・。
posted by vino at 15:25| Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月05日

サンザシの実

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 定点観測のように観賞してきたサンザシの実が、ついに最後の一果を残すのみとなって冬構えに入った。4,50は数えた時もあったものが一つまた一つと落ち始めて、双子の実も相方が落ちてしまい、寂しそう。落ちた実はすべて、埋葬するように別の鉢の腐葉土の中に埋め込んである。来春、いくつの実から芽吹きが見られるか、楽しみにしているところ。
 芽吹きから結実、そして落果まで見ていると、植物の一年は誠に彩り豊かに、起承転結をもって移ろって行くのを実感する。ステレオタイプなもの言いながら、そう思うのだけれど・・・
 詩人は詠っている。
 ・・・
 生命は
 その中に欠如を抱き
 それを他者から満たしてもらうのだ
 ・・・
(吉野弘『北入曽』から「生命は」)
 
 「欠如」といい「他者」といい、辞書では味わえない言葉の広がりを、詩人は呈示してくれる。
 
posted by vino at 10:33| Comment(0) | 庭には・・・ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月04日

橘始黄の候〜

 母の一周忌の法要の後のお斎を、近くのホテルで行った。祥月命日は1月10日だけれど正月早々の法事も憚られるからと、少し前倒しにしてもらった。
 その際、テーブルに配られた料理の「お品書き」の頭に、「橘始黄の候〜」と記されていた。
 さて、これが読めなかった。参列者がこもごも声をあげたけれど、一番多かったのが、「たちばなしこうのこう」で、「こう」と「こう」が重なるから「たちばなしおうのこう」などなど。
 家に戻って辞書で引いて、なるほど、なるほど日本語って美しいと膝を打った。「たちばなはじめてきなり」(本によっては「きばむ」)の候、と読み、七十二候の一つ、とあった。 
 そこで、書棚にあった『日本の七十二候を楽しむ〜旧暦のある暮らし』(文 白井明大、絵 有賀一広 東方出版)を開いてみた。二つ三つと読み進むうちに、どれもこれも言い得て妙と言うべく、それぞれ捨て難い味のある説明がなされている。『日本の七十二候〜』を「始めて繙」いたときは、さして心にもとめずに読み流していたものを、ひとの手で切り取られ示されて見ると、新しい気味が感じられるばかりか、料理人の心意気もこちらの胸に届いて嬉しくなってしまった。
 さて、『日本の七十二候〜』のこと、全文は紹介できないので、「〜始めて〜」に限ってその候を列記させていただく。

春:霞始めて靆(たなび)く、桃始めて笑う、雀始めて巣くう、桜始めて開く、虹始めて見る、葭始めて生ず
夏:蛙始めて鳴く、蓮始めて開く、桐始めて花を結ぶ
秋:天地始めて粛(さむ)し、水始めて涸る、霜始めて降る
冬:山茶(つばき)始めて開く、地始めて凍る、橘始めて黄なり、雉始めて雊(な)く、鶏始めて乳す
 
 如何ですか?改めて先人の自然との触れ合いの豊かさを見る思いが致します、ね。
 来年の暦は、ぜひ、旧暦が併記されたものをお求めになって「〜始めて〜」下さいますように・・・。
posted by vino at 14:56| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする